ブータンはヒマラヤの麓の仏教国、先代の国王がGNH(Gross National Happiness、国民総幸福量)という独自の指標を唱え、GDP、経済成長を目指さず、伝統社会や環境に配慮、国民の幸福を追求する“世界一幸せな国”を標榜したということで有名ですね。
私も以前「ブータンに魅せられて」(2008年今枝由郎 岩波新書)という本に感化され、そのうち行こうかと思っていたのですが、忙しくて行けずに今に至っています。
ヒマが出来た今調べてみると、私のようなバックパッカーもどきの貧乏旅行者にはハードルが高い。外貨獲得とオーバーツーリズム対策で、1泊あたり200ドルの観光税を払うこと、公認ガイドを雇うことが義務付けられており、1日あたり4万円近い滞在費がかかってしまいます。
どうせ秘境にいくなら、ラオスやネパールにしておけば1泊3000円も出せば、結構立派な宿に泊まれるのに。
というわけで、イソップの酸っぱい葡萄。悪口を書きます。
大体良い事だらけのうまい話には罠があります。
昔から騙されてきました。
高齢者世代の方、特に朝日新聞を読んでおられた方は覚えておられるでしょうけれど、昔、中国にはハエ一匹もいなかった。北朝鮮は地上の楽園でした。
絶対許せないと思っていますので、あえて名前を出すと、本多勝一さんという朝日新聞の論説委員がおられました。まだ外貨が乏しく一般の人が海外に行きにくい時代に「カナダエスキモ―」「ニューギニア高地人」「アラビア遊牧民」といった一連の冒険ルポを著し、私もワクワクしながら愛読、今も書棚に残っているのですが、そのあとで読んだのが「中国の旅」という本。日本軍の暴虐の限りを描いているのですが、その一部は本当なのでしょうが内容は中国共産党のプロパガンダ一色、うろ覚えですがこの本で「ハエがいない」事実を知った? (あえて氏を弁護するなら、当時の情勢では中国を公平に取材することなんか出来るわけなかったと思います。)
以来この人は信用しないことにしていますが、お陰で大手マスコミ、大学教授などの権威筋の話でもで出来すぎた話うまい話には嘘があると疑ってかかる良い習慣を得ることができました。
で、そのブータン。
その後友人2人がブータンに行くと言うので、上記の本をお貸ししたのですが、大感激して帰ってきました。
そうなると、行きたくても行けないすっぱいブドウ、へそ曲がりの私はますます、疑ってしまう。
そんなに気に入ったなら、ブータンは無理でも、日本のどこか山奥に自分なり家族なりを住まわせる覚悟があるの?
情報を遮断されていたら、そうなるわな。人口75万人、高知県ほどの広さの山の中の小さな王国で、「あなたは幸せを感じてますか?」なんて質問したら、忖度して「はい」と答えるしかないよね。それに観光客はお金持ちばかりで外貨くれるから、笑顔で接するわな。
まあ、あまりヘソまげるのやめましょう。
失業率が2桁台で高く、上昇志向のある若者たちはオーストラリアへどんどん流出しているって言いますので、こうしたノンビリした世界はいつまで続くかわかりませんが、一方で、医療や教育が無償で、衣食住が保証され、支配者がワルでない。貧しくても足るを知り、笑顔で過ごすって素晴らしいこと、やっぱり素敵な国づくり、一部でもあやかりたいですね。
そう、一つは気の持ち方もありますので、とりあえず、「あなたは幸せを感じていますか」、と聞かれたら、「はい」と答えましょう。自己暗示の霊験あらたか、幸せになれますよ。
どうしても「はい」という気分になれないときは、微笑んでごまかしましょう。
幸せの青い鳥、日本にもいます。