昔のSF漫画で描かれた未来の人類は、いろんなバリエーションがあるにしても、大方は、頭でっかち、他の部分は退化している姿が描かれています。
およそ生物の進化というものは、直線的なものではなく、その時々の環境の変化に応じてそれに適応できるものが生き残る形で、進んできたと言われます。
一方で、生物としては限られた材料をつかって体をつくるわけで、不要な部分は捨てて効率化を図る必要があります。人類は頭脳を発達させた代わりに、他の動物のような優れた感覚、運動神経、筋肉、牙や厚い毛皮、などを削ぎ落としてきたわけです。
最近でも、現代人は、遠くのものを見る視力や、嗅覚などが随分低下してきました。
以下、天界での会話。
議長 今日のテーマは、人類をどういう形で改造すればよいかです。アイデアを出し合いましょう。
A そもそも、人類、はびこりすぎて他の生物を食い散らかすは、住環境を破壊するわで碌でもない。この際、このままにして自滅させたらよいのでは。
議長 その議論は別のところでするとして、今日のテーマは、人類の立場からどうするかです。不規則発言はお控えください。
B 車や色々な家電を使えるようになったので、手足は退化させて頭脳をもっともっと発達させては。
C それは、昔の小説家が夢想した火星人モデル。目と頭だけで、手足がタコのように細いやつでしょ。思うに、どうもそういう方向から外れてきているような気がします。
D そうそう、最近のあいつらは、なんでもグーグルで検索して何も考えなくなっている。検索しているうちはまだ良かったが、最近じゃ、生成AIとかになんでも丸投げ、全く頭使っていない。コンピューターのプログラムさえみんなコンピューターに作らているみたいでですよ。
C そうすると、頭は退化させて、スマホやパソコン操作するための手と目をレベルアップさせますか。
D なるほど。でも、パソコンも手で入力しなくなって、口先で指示しているみたいですよ。
C 手もいらないか。
議長 退化させるほうについては、皆さんの意見がそろってきたようですが、じゃあ、その代わりにどこを進化させますか。
B 少子高齢化とか言って騒いでいるから、ナニを。
議長 話をシモネタに落とさないでください。子孫維持が最重要なのがわかりますが、それは人間に限ったことじゃないし。
B すみません、やつらがバラまいた有害物質や、ウィルスに強くなる機能は必要でしょうね。例えば鼻毛を増やすとか、気道を小腸みたいに長くするとか。
A それはいいかもしれませんけど、自業自得なんだから、やっぱりこの際人類を...。
C あと、見ているとスーパーコンピューターを動かすのに膨大な電力がいるみたいで、リスク対策として何とか分散できないかなんて議論をしているみたいです。もっと細かいレベルでも、みんな、スマホの電池切れで困っているようですよ。
B そうすると、デンキウナギの遺伝子を授けますか。
小さい頭に鼻毛ボウボウ、胸が大きくて、手足はほんのちょっと。おへそのあたりに電極があって電気を放出する、そんな感じですかね。あ、それと下半身....
議長 みなさん、どうです、どうしてもシモネタに落としたいみたいですけどそこはさておいて。