先日、青少年へのSNS規制の動向についてご報告いたしました。今回はその続編です。
SNSではありませんが、情報へのアクセスが容易になった現代では、ほかにもいろいろな問題が発生しています。
社会経験が乏しくガードが甘い上、欲望が盛んな若者たちも被害に会いますが、よく狙われるのは老後にそなえ小金を蓄えている老人たち。消費者庁によりますと2022年の特殊詐欺件数は、発覚しただけで1万7520件、被害額は361億円(前年比79億円増)とのことで、つまり、毎日1億円が詐欺被害で盗られているということ。被害者の6割以上が老人たちのようです。
知る限りの最高額は、大阪府の会社経営の80代女性。証券会社や大手製薬会社の社員を名乗る複数の男から電話があり、「あなたの名義で製薬会社に現金が振り込まれている」「名義貸しは犯罪にあたる」などといわれたあと、調査に協力すれば犯罪を不問にするといわれ、5億7千万円をだまし取られたとのこと。
最近では、70代の男性が、実在の有名投資家になりすました男からSNSをつうじてオンライン投資をすすめられ、1億2千万円、なんてのもありました。
率直に申して、お金持ちや欲がらみの被害には、あまり同情の念がわきませんが、コツコツためてきたお金のなかから、30万、40万、あるいは子供可愛さに何百万工面して、だまし取られる老人たち、頼みの老後資金を失って殺されたみたいなもんですね。
対策としてATMの出金制限などがとられてきましたが、被害はとどまるところを知りません。
新たな対策として、2024年6月から次の対策がとられることになりました。
・高齢者世帯での固定電話の廃止 (今どき固定電話持っている個人は高齢者ですが)
・65歳以上の人に、毎年認知症テスト、詐欺シミュレーションテストを行い、不合格者からはスマホ、パソコンを取り上げる。(3G対応のガラケーは2026年3月で廃止)
・65歳以上高齢者の投資は一旦すべて凍結。弁護士などの後見人をたてさせ、取引はこれを通じて行わせる。
・65歳以上の高齢者の銀行での出金を原則1回10万円以下、月間1百万円以下に制限(含むネット取引)、それを超える場合は、個別の面接を義務付ける。クレジットカードも同様にする。
老人たちからはこういう声が上がっています。
銀行のお金が引き出せない、これは政府や銀行、弁護士による詐欺だ。
いえいえ、あたたちを保護するのが目的ですから、多少の不便は我慢してください。そして将来、残ったお金を次世代に相続していただき、また相続税を払ってお国の役にたつことを誇りに思って、余生をお楽しみください。