テレビで評論家が言っていました。
(評論家A)
昔は一家で一台のテレビ見ていた、会社や学校言っても他の人も同じもの見たんで話があった。
ところが次第にテレビ局も増え、チャンネル争いをしていたうちはまだ良かったが、そのうち家族それぞれテレビ買ってみるようになった。
そして今、みんなテレビや新聞を見なくなった。見ているのは年寄だけ。みんながそれぞれスマホから情報を得て、リモートで会ったこともない友達と繋がっている。
それじゃ、家庭は崩壊する。社会もバラバラになる。なんとかしなければならない。
(評論家B)
そうですね、まずネット使わない人は置いていかれる。使っている人たちは繋がっているかといえば、所詮情報処理能力は限られているから特定のネット情報だけしか入ってこない。アルゴリズムでターゲッティングされた情報ばかりが飛び込んでくるので、各人の好みにあった情報が「真実」として配信され、洗脳されていく。ちょうど、室内で自分の声がこだまするように、エコーチェンバーになって特定の考えに凝り固まってしまう。
(評論家C)
だから、社会人教育が必要なんです。中国を見習って悪い情報は遮断して、正しい情報だけを届ける仕組みを作らねばなりません。
(古老の声)
何言っているんだか。
好きにしたらいいさな。
昔から、村の中のことしか知らない。外のこと知ってもおまんまの足しになるわけじゃないし。
周りの仲間と、自分たちのおまんまのことだけ、よーく考えればいいんだ。
国がどうしたの世界がどうなるだのってむずかしいこたぁ信用できる偉い人に任せておけばいいってもんだ。ちょとと話すりゃ、だれが信用できるかわかるさな。
スマホで遊ぶのもいいさな、使ってみたら、お天気や作物の相場とか聞いたこと何でも答えてくれて便利だしな。
情報が多すぎるったって、馬鹿でなけりゃ、何がおまんまの足しになるかわかるってもんさ。
この間も、隣村のやつが水止めたから、そりゃ村挙げての喧嘩さな。おらも鍬持ってかけつけただ。
自分や家族のこたぁ自分でまもりゃにゃな。家族みんなそうしているから、みんな仲間さな。
世の中そんなもんだろ。