こんなニュースがありました。
米国の地質調査所の研究結果によると、ニューヨーク市はビル群の重さで徐々に地盤沈下が進んでいるそうです。
ニューヨーク市の5区にあるビル108万棟の重量を合計でおよそ7.6億トンと算定、シミュレーションの結果、その重さで平均で年間約1~2ミリ沈下し、場所によっては最大4.5ミリに達する場所もあるという結果を得ました。
そうでなくてもニューヨーク市周辺の海面は世界の2倍を超すペースで上昇しており、2050年までにはさらに約20~76センチ上昇すると予想され、しかも気候変動の影響で、ハリケーンなど豪雨の頻度が増える見込みで、今後の大災害が懸念されています。
これはニューヨークだけの問題ではありません。米国ロードアイランド州の州立大学の研究チームが世界99都市について行った調査では、大多数が地盤沈下の問題を抱えているそうで、インドネシアが首都移転計画をうちだした原因は、首都ジャカルタの急速な地盤沈下によると言われています。
もちろん、我が国でも大問題です。
我が国では、ゼロメートル地帯と言われる場所が沢山あります。
東京都23区の湾岸部や東部の江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区等のうち荒川両岸地域など、
近畿地方では大阪市湾岸部の港区や西淀川区、北区、浪速区、城東区、大正区、西成区、兵庫県尼崎市南部や西宮市南東部など、
名古屋市の港区や南区、愛知県の弥富市や愛西市、三重県の桑名市や海津市など、
福岡市の博多区や東区、北九州市の門司区や小倉北区など、
北海道の苫小牧市や釧路市など、
こうした場所に150万人位の人が住んでいます。
何かと利便性も高いので色々な事情があるのでしょうけれど、津波や水害を考えると大丈夫なんだろうかという気がします。慣れっこになっているから大丈夫だと?
上記の東京都の低地について調べた結果によると、2016~2020年の間に最大で1年あたり0.256 cmの沈下が見られるそうで、かって1891〜1970年には最大4.5 mもの地盤沈下が起きていた頃よりだいぶマシになっているようです。これは、最大の要因である地下水の汲み上げなどを改善した結果みたいですが、今後はビルの重みによる地盤沈下が問題になってくるかもしれません。
事態を重く見た政府は、対策に着手しました。
ご存知のとおり、建物を所有していると、固定資産税が発生します。
来年度から、これに加え、建物重量税が課せられることになりました。
自動車の重量税が当初は道路の補修財源として使われていましたが(その後、使途は自由になった)、この建物重量税は、堤防の整備や橋梁の嵩上げなどの費用にあてられることになります。
今のところ、個人の体重に対する個人重量税は見送られてましたが、高層住宅などにお住まいの方は、かなりの負担増となることを覚悟しておいてください。