少し古い話になりますが、昨年11月、石破首相が衆議院本会議での自分の首班指名選挙中に居眠りをして、顰蹙を買いました。その後も居眠りグセが抜けないようです。睡眠時無呼吸症候群の疑いが持たれている上、少数与党の悲哀、激務で睡眠時間4時間だとか。かわいそうに、それでは良い仕事もできないでしょう、早く辞められたらと言ったら叱られますか。いえ、ここは我らが首相のために、睡眠について考えて差し上げましょう。
OECDによる2021年版の調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国の中で最も短かったそうです。ちなみに33ヵ国の平均は8:28、2位は韓国の7:51、3位ノルウェー8:12 、長い方の1位は南アの9:13、2位中国9:02、3位アメリカ 8:51だそうです。
成人の場合、理想的な睡眠時間は、6~8時間程度が目安で、複数の調査研究から、7時間前後の睡眠時間の人が生活習慣病やうつ病の発症や死亡のリスクが最も低いとされています。
そして、2018年に実施した国民健康・栄養調査によると、睡眠時間が6時間以上8時間未満の割合が、20歳~39歳で54.0%、40歳~59歳で47.7%、60歳以上で55.8%と、およそ5~6割の人がこの範囲に当てはまります。やったぁ。
でも他方で、6時間未満の人も20歳~39歳で40.0%、40歳~59歳で49.5%、60歳以上で32.5%もおり、我らが首相以下、寝不足人口もかなり高い。じゃあ、それで何がおこるの?
睡眠が不足すると、自律神経の乱れとストレスの増加がおこり、頭痛、吐き気、めまい、動悸の症状が出、免疫力の低下により風邪や感染症にかかりやすくなります。これらにより認知機能も低下、ワーキングメモリーが低下するともいわれています。また、ストレスにより不安感が増大、ネガティブな感情刺激に反応しやすいのに対し、ポジティブな感情刺激に対しては影響を受けにくいといった症状が発生するようです。
ここまでは、なんとなく想像ついていたのですが、あと、食欲が増すという影響があるそうです。
食欲に関わるホルモンとして、食欲を増進するとされる「グレリン」、反対に満腹感を感じさせ食欲を抑えるとされる「レプチン」の2つのホルモンがあります。
2004年のスタンフォード大学が被験者およそ1000人に対して行った研究によると、平均睡眠時間が5時間以下の人は8時間の人と比べて、血中のグレリンが14.9%増加し、逆に血中のレプチンが15.5%減少していたことが分かりました。
じゃあ、性欲についてはどうなのでしょう。
もし夜に一睡もしないと脳からドーパミンが多く放出され、エネルギーやモチベーションが上がり、性欲も増大するそうです。
でもここで喜ばないでください。
学術誌『ブレイン・リサーチ』掲載の論文によると、睡眠不足は男性ホルモンの一種で性欲を司っているテストステロンの減少につながることが明らかになっています。加えて、台湾の国民健康保険のデータベースを用いた大規模な研究では、睡眠障害がある人は、無い人に比べてEDのリスクが3.7倍も高かったそうです。
総理大臣への批判ばかり多く、支持率が上がらないので、危機感をもった内閣官房から「国民各位へのお願い」が出されました。
・会議中の居眠りは仕方のない生理現象、良い仕事をするための休養と許しましょう。
・大酒のんでも、頭痛、ストレス対策の薬です。
・おにぎりを頬張っても、旺盛な食欲のためですから多めに見て差し上げましょう。
・海外出張で万一ハニートラップにかかっても、国民が許容すれば強請られるリスクはなくなりますので、大目に見ましょう。
・認知機能や判断能力の低下リスクについては、アメリカの現大統領バイデン氏の例にもありますように周囲が支えますので心配しないでください。