― おじいちゃん、どうしたの、羽織袴なんか着ちゃって。
― むかしはな、貧乏だったで、七五三も成人式もしてもらえんかった。
ちょうど75歳になったから、お宮参りに行ってくる。
― 恥ずかしいことやめてよ、子どもたちに混じって浮いてしまうわ。家でお祝いしてあげるからさ。
― 心配ないだ。仲間たちに呼びかけて、みんなして行くだ。
神社は大変、近郷近在のジジババがあつまり大騒ぎ。酒酌み交わす輩も出たりして。
少子化のおり、こどもたちはジジババに埋もれて、形見の狭い七五三でした。
でも、人生の先輩たちに祝われて、すくすく育ちますように。