待ちに待った桜の季節。
花粉症の人はまだぱーっと羽を伸ばしてお花見とはいきにくいでしょうけれど、何と言っても心がウキウキと弾みます。
公園や川沿いに植わっているサクラも美しいけれど、何の変哲もなかった山のあちこちがピンクに染まり、あ、こんなとこにもサクラがあったのだと知る。この時期いたるところに咲き誇りますね。
日本にはソメイヨシノやヤマザクラを始め600種類以上のサクラがあるようで、10月から1月ごろに咲くフユザクラもありますが、やはり冬に咲いたのではそんなに嬉しくない。早い時期にぱあっと咲いて見ごたえのあるのはカワヅザクラ、2月から楽しめますので、見に行かれた方も多いのでは。
サクラ好きの人は、まず1月に沖縄に行きカンヒザクラ、2月になったら伊豆半島にいってカワヅザクラを鑑賞。そして3月にはいったら、近所でカンザクラを楽しみ、開花宣言の声を聞いたら靖国神社に行きソメイヨシノを、そのあと大阪造幣局に行ってヤエザクラの通り抜けをし、ヤマザクラを見物。この間、山梨に行ってカミヨザクラをみたり、三春にいってシダレザクラを見る。5月には北海道にわたりオオヤマザクラ、6月になったら那須岳や中央アルプスあたりの高いところに登ってタカネザクラを見る、ああ、忙しい忙しい。
でも、私はモモも大好き。
モモの花もソメイヨシノより若干早い頃に咲きます。普通、農園に咲くので樹形も低く、サクラのように見上げるのでなく、視線とそう変わらない位置に、沢山のピンクの話を咲かせます。山梨県の笛吹市あたりは一面がピンク色、遠くに富士の白嶺が見えたりして良いもんですよ。
それに、何と言っても、この花のあとに桃の実がなると思うとワクワクします。この点がサクラより偉いところ、サクラには少し反省してほしいです。
サクランボがなるじゃないかって? サクランボは、セイヨウミザクラという西洋種なのだそうで、サクランボがたわわに実った姿はステキだけれど、花はもう一つインパクトが薄いし、ビニールハウスの中だったりするので、花見にはそぐわない。
一方、我々のそばにある日本種のサクラの実は小さくて酸っぱいだけ。この辺、農水省はじめ政府は何を考えているのでしょうか。
でもご存知ですか。東京都では、そういう期待に応えて遺伝子組み換え技術を駆使し、老木になったソメイヨシノを順次、実のなる改良種に入れ替えています。
神宮外苑の樹木伐採で猛反対を受けた都知事が、人気取りとして始めたもので、今のところ新宿区、渋谷区、千代田区から着手、千鳥ヶ淵や靖国神社はすでに、三分の一程度の入れ替えが進んでいます。
6月になったら、真っ赤な実を沢山つけて都民をはじめ訪れる人々を楽しませることでしょう。
なお、銀杏同様に、街路樹の実を拾うのは禁止されていませんが、木登りをして道路や千鳥ヶ淵などに落ちる人が続出することが懸念されており、消防庁、警視庁では対策チームをたちあげたそうです。