近所で家を建てています。先日土台部分にコンクリートが流し込まれ、今、作業員さんたちが、鉄骨に針金を巻いたりしているようです。日本人かどうかはわかりませんが、黙々とやっています。
働いている姿を描いてください、って言われたら、何を描きます?
多くの人は畑仕事とか、工事現場とか、配達員とか、なにかしら道具をつかうにせよ手足、肉体を動かす仕事をしている人を描くと思います。
お医者さんや学校の先生、レジの店員さんなんかだって、いわゆる肉体労働ではないけれど、現場仕事ですから絵に描けますよね。
それに対して、パソコンに向かっている姿や、いくつものスクリーンを眺めてトレーディングしている姿なんか、ちょっと違いますよね。例えば電車の総合司令室なんかは微妙ですが。
オフィスで事務作業や、書類の決裁をしている姿も、あまりそういうイメージじゃない。
研究者だって、実際はデスクワークで、画面を見ながらあれこれやっているのもありでしょうけれど、働いている姿のイメージと言うなら、試験管やビーカー、顕微鏡を使っている姿になります。
私自身、現役時代、書類を作ったり、取引先とやり取りする仕事をしていました。「迂回生産」と言う言葉は理解していましたが、これが、おまんま食べることにつながるという実感をもてないでいました。
私の誤解かもしれませんが、総じて言えることは、肉体を使う仕事のほうが収入が低いこと。学校の成績が良くて要領の良い人が、汚れ仕事を人に押し付けて、割の良い仕事をとってきたということでしょう。体を使う仕事はどんどん機械に置き換えられてきたから、労働需給が使用者側に有利に働き、所得が低く押さえられてきたと言う部分もあるでしょう。
でも、これは過去の話。
今、末端の現場仕事、汚れ仕事は、働き手がなくなってきました。外人労働者を入れて、低賃金を維持していますが、これは長く続かず、いわゆるブルーカラーのほうが賃金が高い時代がくるかもしれません。
それに対して、手先、口先や頭を使う仕事はどうなのでしょう。AIの進化ってすごいですよ。どんどん人間の領分にはいりこみつつあります。このへんの力関係がガラッと変わる可能性があります。
一般に、AIによって代替されやすい職種として、データ入力・事務職、レジ係・受付係、運転手なんかが挙げられています。
また、一部をAIに代替されるだろうけれど、それを使いこなすことで恩恵を受ける職種として、医師、弁護士・会計士、翻訳者、設計技師、プログラマーが。
そして代替されることはないだろう職種として、アーティストやデザイナーなどクリエイティブ職、研究者、心理カウンセラーや看護師、介護し、保育士、教師、営業職など人との接点の多い仕事、経営者などが挙げられています。
多分、現時点での「識者」の考えた将来像はそういうことなのでしょうけれど、私は違うと思っています。AIを舐めていると思います。AIが人間の知能を超える転換点、シンギュラリティ(Singularity 技術的特異点)はすぐそこ。2045年とかいわれていますがもっと早まります。
法律や判例を参照し書類をあつめて論理を組み立てる弁護士、もういらないでしょう。会計士もそう。お医者さんも、手先を使う外科医以外、ほとんどいらなくなると思います。
AIはクリエイティブなことはできない? 人との接点は苦手だと? 経営判断はできないだと?
そんなの「識者」たちの希望的観測。AIだって、どんどん学習して、人間の感性だって理解できちゃいます。人間が頭使ってやることなら何でも、もしかしたら悪事を企むことすらできちゃいます。
そんな中で、絶対AIができないこと。
冒頭に上げた「働くひと」たちの仕事です。仕事の形は変わるし、仕事の範囲は減るかもしれませんが、肉体使う部分は人間しかできません。これを言うと顰蹙かいますが「世界最古の職業」なんかも不滅でしょうね。
まあ、それらに指示をするのは人間じゃないですが。