中国人は「4本足のものは机と椅子以外、2本足のものは家族以外、飛ぶものは飛行機以外、水中のものは潜水艦以外、なんでも食べる」なんて言われますが、どうしてどうして日本のほうが上を行っているんじゃないかとも思える食文化黄金時代の日本。
でも、世界中には宗教的信念、文化的価値観、歴史的背景、倫理的立場により、食のタブーが沢山存在しています。
◯ 宗教によるもの
1. イスラム教(ハラールとハラーム)
禁忌(ハラーム):豚肉、特定の動物(捕食動物、昆虫、鱗のない魚類、爬虫類など)血液、アルコール。
適切に屠殺されていない動物なども不可。コーランによる。
一方で、それ以外はハラール、食べても許される。
徹底度:比較的高いが、一部の地域や個人、年齢層ではややいい加減なこともあるようです。ビールは酒じゃないなんちゃって。海外での生活中は「やむを得ず」ハラール以外を食べることもある。
2. ユダヤ教(コーシャ)
禁忌:豚肉、甲殻類、鱗のない魚、特定の動物、肉と乳製品の同時摂取など。トーラー(ユダヤ教の聖典)にもとづく。
肉と乳製品を混ぜないのは、母と子を共に煮てはならないという教えによる。親子丼は駄目ですかね。
徹底度:正統派は厳格ですが、改革派などは柔軟な場合もあるようです。
3. ヒンドゥー教
禁忌:牛肉、一部では卵や魚も。牛はヴェーダ文献で神聖なものとされているから。
徹底度:都市部や若者は例外もあるようですが、徹底度は高い。
4.シーク教 (16世紀にインド北部で興った宗教でイスラムとヒンドゥーの影響を併せ持つ)
ターバンを巻きひげを伸ばしているので日本では「インド人」のイメージとして定着。
禁忌:イスラム教式に屠殺されたハラール肉は拒否。宗派によるが、「アムリトダリ」は菜食主義。
アルコール、タバコは禁止
徹底度:「アムリトダリ」以外はやや緩い。ハラール肉を食べないことは徹底している。
5.キリスト教
イースター前の40日間、金曜日など特定の日に肉食を控える。特定の時期に節食、断食をする。
かなりの期間、肉、乳製品、卵、魚、ワイン、油などを制限、菜食中心の断食をする。
アルコール、コーヒー、紅茶の節食を禁止。
完全菜食主義を推奨し、豚肉や不浄な肉を禁じる。(レビ記に基づく)
・福音派
一部の福音派では禁酒
6. 仏教
禁忌:一般的には肉食全般(特にチベット仏教以外)、五葷(にんにく、ねぎ等)。殺生をさけるため。
五葷は精力を増し煩悩を呼び起こすから。精力剤はだめでしょうね。
・大乗仏教(日本など) 歴史的には精進料理が主ながら、現在は肉食容認が一般的。
・上座部仏教(タイなど) 殺生は禁じられているが托鉢で得たものは肉でも食べる。
・チベット仏教 基本的には殺生を避けるが肉食容認。
野菜や穀物を育てるのが困難な厳しい地理的環境に生きているため。
「お釈迦様、そうおっしゃるけれど、うちら羊やヤクを食べるしかないんですよ。」というわけ。
その代わり、自分のためには殺さない、殺すことを指示していない、殺すところを見ていないという3条件を満たした「三浄肉(さんじょうにく)」が理想。
徹底度:宗派・地域による。日本では一部の真面目な僧侶以外比較的柔軟。精進料理も珍しいから食べると言う乗り。
◯ 文化・地域に根ざしたタブー
1.犬食
多くの国(特に欧米)では、犬は愛玩動物として家族の一員であり、その肉を食べることは強い嫌悪感の対象。
中国やベトナム、韓国などの一部地域では食文化として存在するが、外圧にまけて衰退気味。
2.昆虫食
多くの先進国では、昆虫は不潔なもの、あるいは害虫と見なされ食べない。
タイやメキシコなど一部の地域では一般的な食材。
近年は、環境問題や食糧危機への対応策として注目されだしている。
3.中国食品
私、中国からの食品食べないわ。
環境汚染、不適切な農薬や添加物の使用、偽装問題、製造・加工過程での問題など、多岐にわたります。
特に、メラミン混入事件や食品偽装事件は、中国国内だけでなく、国際的な問題としても認識されています。
◯ 倫理・思想によるタブー(現代的な例)
現代では、ヴィーガン/ベジタリアンの動物性食品の忌避がよく知られています。
宗教というより、動物愛護、環境保護、健康志向など信念からくるもので、様々なタイプがあります。
1.ヴィーガン (Vegan):
肉、魚、卵、乳製品、蜂蜜など、動物由来の食品を一切食べません。「完全菜食主義者」とも呼ばれます。
衣類や生活用品も動物性素材(革製品、毛皮など)を避ける場合があります。
2.ベジタリアン:
・ラクト・ベジタリアン:肉、魚、卵は食べませんが、乳製品は食べます。
・オボ・ベジタリアン:肉、魚、乳製品は食べませんが、卵は食べます。
・ラクト・オボ・ベジタリアン:肉、魚は食べませんが、乳製品と卵は食べます。
・ペスコ・ベジタリアン:肉は食べませんが、魚、卵、乳製品は食べます。
・ポーヨ・ベジタリアン:鶏肉は食べますが、魚は食べません。卵と乳製品は食べます。
・フルータリアン:果物、種子、ナッツ類のみを食べる、より厳格な菜食主義者です。
・ロー・ヴィーガン:生の野菜や果物、非加熱の植物性食品を中心に食べるヴィーガンです。
・オリエンタル・ベジタリアン:ヴィーガンを基本としつつ、五葷(にら、にんにく、ねぎ、らっきょう、浅葱)を避ける。
・キャロット・ベジタリアン: 僕、にんじん嫌い! これは思想ではなく単なる偏食。
そう言えば、大豆肉ってのありますね。
以前から中国の「素食」日本の「精進料理」という、大豆由来の湯葉や小麦のグルテンなんかつかって本物の肉に似た食材をつくる技術、文化があります。
ちなみにガンモドキは、鴨の一種「雁」の肉に見た目、食味が似ているからつけられた名前。日本が産んで海外でも絶賛大人気の傑作、カニカマなんかもこの部類ですかね。
最近ではこの技術が進化して、大豆を原料に本物そっくりの肉がつくられ、大豆ミート、Beyond Meatなどの名前で売られており、常温保存が利くので主婦たちの間で人気のようです。食べてみましたが、従来の「精進肉」と大違い、気付かないくらい本物そっくりです。豆腐ハンバーガーなんか食べた人も多いのでは。
さて、上記は人口肉のなかでも、植物を原料とした代替肉と呼ばれるものですが、これに対して、動物由来の培養肉もでてきました。最近のニュースによりますと万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で培養肉が展示されているそうです。
安全性の基準が未整備のため試食は見送りのようですが、シンガポールなどでは製造、販売とも承認されているとのこと。
和牛から採取した肉塊をもとに、はじめに筋肉・脂肪・血管の細胞をそれぞれ培養して増やし、3Dバイオプリント技術で直径1mm以下の線維状態に形成、これらを組み合わせることで、牛肉を再現しています。
将来的には家庭も作ることができるとか。ヤバ、何を食わされるかわからない。
原料を厳選したうえでこの手法を使って、ヒンズー教徒やムスリムでも食べられる培養肉が作られる日も近いかもしれません。
「ご飯は2杯まで、おかずはタクワンだけよ。」
これタブーでなく、ただの貧乏。今どきそんなご家庭ないと思いたいですけれど、満足に食べられない子どもがいるなんて話が聞かれます。
そうか、やたらと大食いして食材を無駄にして、自分の健康までも害している人たちも世界中に沢山いる。世界中が満足に食べられるようになるまで、タクワンだけのタブーも良いかもしれない。
と、人ごとのように言って、さて、昼飯、たまにはウナギ食べたいな。タブーを忘れて中国産の安売りウナギ買ってこようかな。